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謙遜ぐせが抜けない

  1. 2008/12/10(水) 18:47:44|
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 今の時代、謙遜してしまうのは悪いくせだ。「能ある鷹は爪を隠す」を実践すれば、能力を正当に評価されず舐められる。世知辛い世の中で、他人の隠された能力を見出すほどの余裕を持った人々が、少なくなってきているからだ。逆に無能でも、声ばかり大きくて目立つだけの奴が評価されたりする。

 裏千家のエッセイコンクールで受賞した俺の原稿を読んだ友達が、

「正直、ちょっと引いたわ」

と言っていたので、俺はついつい謙遜ぐせを発揮して、

「だろう? 俺もアレで賞を獲っちゃっていいのかなと思っていたんだよ」

なんて塩梅に返事してしまった。しかしあの時は、

「引かれようが何されようが、俺が受賞したことは事実だ。それに俺は、最初から受賞を狙って書いていた。エッセイ部門と論文部門でのダブル受賞を狙ってね。

 なおかつ普通の作文らしい作文を書いちゃつまらないから、定石を大きく外した原稿にした。定石外れとはいえ質は高い原稿を、裏千家は受け入れることができるのか否か。言うならば、俺は裏千家の包容力、器の大きさに対して挑戦状を叩きつけたわけだ。その結果がエッセイでの受賞だ。裏千家の大器に感謝するよ。

 ただし『作法が堅苦しすぎる』と書いた論文はボツになったがね、これは無理もない。裏千家は作法を教え、月謝を払ってもらうことによって商売を成立させ、組織を維持している。そして人間は、自分の商売道具を否定して生きていくことはできない。自分を肯定するためなら人殺しすら時としてやってのける、それが人間だもの」

と言うべきだったと言いたいのは山々だが、こんな返答は小説の世界でしかできないだろうな。いきなり隣に座っている人間が演説を始めたら、怖くて仕方ない。このような場面が5ページに一度はあるドストエフスキーの小説は、実は純文学ではなくホラーなのかもしれない。

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